Fly Fishing

出会った渓魚/山女魚、エノハ、虹鱒、アマゴ、ごぎ

アルバム/九州、西中国山地の渓相


O氏との懐かしい一枚/島根匹見
O氏との懐かしい一枚/島根匹見

 私の住む長崎県内には高い山がないため、渓流魚の生息できるような河川がほとんどなく、九州の尾根と言われる宮崎方面や中国山地などに出掛けています。長崎からだと、中国山地に行くのと宮崎へ行くのは余り時間的には変わらず、むしろ中国山地の方が高速道路で直接アクセスができるので運転は楽です。そのようなアクセス事情などから、2000年の頃からは約標高700メートルある吉和ICまで高速道路を一気に走り、そこから日本海側に流れ込む川の上流域を目指し、奥匹見の渓の「ごぎ」に遭いに通ったこともあります。

 最近の遠征先は、もっぱら宮崎や熊本方面が多く、というのも天然渓魚に出逢える所が稀少となり自ずと絞られてきた観があります。

アルバム/溯行・人物など


こぼれ絵話

今季最後ギリギリの入渓   (2017.09)

 今季シーズンの最終盤になろうかという時、N氏より“今週の金曜、どうでしょう?”というメールが入り、待ってましたと言わんばかりの二つ返事を。最近の私は、淡水魚釣りといってももう一つのモンスター狙いの方に夢中になり、このところ渓にはご無沙汰していたところで有難いお誘いでした。

 ずっと気になっていた地元の渓魚たち、果たして元気だっただろうか、個体数は激減していないだろうかなど、地元の川は小さな渓流なので気候変動に大きく左右されやすく心配でした。

 さて、久しぶりの林道を車で登っていくといしや岩がゴロゴロ、それらを避けながら進むと倒れかかった木に道を塞がれ、N氏と交代で覆いかぶさった木を交互に持ち上げて車を潜らせてポイントまで進みました。

以前と同じポイントに車を停め、はやる気を落ち着かせながらウェーダー、シューズ、ベスト、ロッドとラインなど準備を済ませ、まず堰堤下の淵まで降りて行きN氏が5gスピナーをキャストして引くと、元気な渓魚がすぐチェイスして来ました。その2投目、少しピンク色に染まった綺麗な渓魚が釣れ、おっ!ちゃんと生き残っている!と、安心しました。N氏は、自分の道具についても自らカスタマイズをするという本格的な釣り師で、今回のロッドもブランクロッドから調整をされて作られたものでした。氏は、その狙いの確認なども楽しみながら、その後もスピナーへのチェイスを試しながら10尾以上の釣果を上げ、満足そうでした。私は、フライの釣果がダメでしたが、渓魚の個体数を確認できたことが大きな釣果でした。

 私は、1尾バラし、1尾合わせ切れ、1尾空振りという結果に終わりました。N氏曰く、フライへの渓魚の反応は食性によるもので、ルアーへの反応は反射的な行動や攻撃などなので、かなしも食性ではないので、また合わせがフライと違ってリールを巻くだけで…と、気遣ってくれました。確かに少し楽になりましたが、しかし、最後がノーフィッシュになるとは…。

 来年は、フライだけではなく、私もルアーに挑戦してみようと密かに誓いました。来春の渓が待ち遠しいところです。

まずは近場の渓にて(2017.04)

 春山の爽やかな渓空間は、何度行っても飽きることなく、新たなシーズンの到来を感じ私の気持ちをリセットしてくれます。清々しい渓相と水の流れの音には心が芯から癒されるとともに、また新たに始まる釣りシーズンの幕開けを感じ嬉しさと期待に胸が膨らみ踊ります。

 山岳渓流でのフライフィッシングの遠征などを長年続けて来た私は、高齢になってからは遠征には殆ど行かなくなり、近場の渓で密かに楽しむ程度になりました。その近場の小さな渓は、私が当地諫早へ移り住んで間もない頃から20年近く通っており、その間渇水などの天候不良に見舞われこともあり渓魚が死滅してしまうのではと心配した年も多々ありました。しかし、渓魚たちの生命力の方がたくましく、自らの力で難を乗り越え絶滅を免れて今日まで生き延びています。そのような渓魚の姿に出会えると、また一段と元気をもらえるものです。

 さて、今季もさっそく渓相見と渓魚伺いに芽吹きの始まった山の中に車を走らせ、一年振りにフライジャケットを身にまといフライロッド手に入渓しました。この毎シーズン、初入渓の瞬間の空気と己の気持ちについては、なんとも言えない一言で表現するとするならば、身体全体はリラックスしていながらも気持ちは凛と真剣な、至福を噛みしめることのできる時です。そして、さらに渓魚との対面を果たした時がその頂点となり、自分の人生全てがハッピーになります。


地元の渓  個体数甦る 2016.05 

山岳渓流でのフライフィッシングは、沢登りのような岩場続きの渓を釣り上らなければならないので、高齢になった私にとって単独遡行は危険過ぎになり、また長年同行を楽しんできたO氏も多忙になったことからここ数年遠征から遠ざかっているところです。また、私自身の健康面においても、心臓病を患ってからの体力低下や生活習慣の改善など必要になり、単独での入渓は自粛せざるを得ない身体に陥ってしまいました。

 そのようなある日、ところが私のHPを見ましたという人からメールが届き、早速近しくなりこれまで通っていた地元の渓に互いの自己紹介と初顔合わせを兼ね一緒に遊びに行くことになりました。そのN氏は、隣市在住の釣り全般に精通されるオールラウンド・エキスパートアングラーで、子供の頃から淡水から海釣りまでを極めた42歳の男性でした。初めての待ち合わせは諫早公園の眼鏡橋前にし、事前にお知らせしていた互いの車の車種と色を頼りに行くと、N氏は予定時間より少し前に到着されていて、まずは車の窓越しに会釈を交わしその後車を降りワクワクする気持ちを抑えきれず挨拶をしました。アングラー同志と言うこともあり早速意気投合、小生の知っている近くの渓に山女魚を釣りに向かうことになりました。私はフライで、N氏は凄く正確なコントロールのバックキャストでのポイント投入など、私としては初めてみる素晴らしいキャストのルアーによる渓流釣りを見ることができ、久しぶりに爽やかで楽しい時間を楽しませてもらいました。

 当日は、天気が崩れ雨になり、フライには苦戦を強いられましたがルアーは雨の影響を受けにくくポイントごとに渓魚が追ってくるという、近年にない楽しい釣りとなりました。渓魚の様子は、思っていたより個体数が増え当初の頃に近い渓相に戻っており、三世代が元気に生息していることが確認でき安心しました。これからは、新たな仲間と巡り会えたことで再び渓で楽しむことができるようになり、秋に向けまた以前のように楽しめそうです。

 とは言っても、岩場の久しぶりの遡行は以前と違ってよろよろ、歳には勝てないのを素直に受け入れ、のんびり焦らず転ばないよう気をつけねばと自覚した渓遊びでもありました。


恒例の中九州遠征、天然山女魚の渓へ(2013.09)

 今シーズンが終わろうとする直前の三連休、九州地方は幸いにと言って良いものか台風の影響もなく、宮崎と熊本の県境辺りの山の中で天然山女魚と遊んできましたが、これまでの20数年に渡る釣りフライ人生の中、大きさはともかく、一日半の溯行で軽く60尾(二人)を越えるという大釣果となる遠征に終わりました。しかしながら、その200m以上の標高差を釣り上がる岩場のフライフィッシングは、66歳の私にとってはそろそろ潮時かなとも思われる釣行ともなりました。

 

 

地元境川支流、久しぶりの入渓(2013.05)

O氏のキャスティング
O氏のキャスティング

 かって、この境川も一時期のフライフィッシングブームの頃は福岡ナンバーのRV車が訪れていたものですが、今ではそのなごりもなく地元の私たちだけではないか…と。当時は、毎年稚魚放流が重ねられ20㎝以上の山女魚にもお目にかかることができました。近年は、どうも稚魚放流も前のようには行われていないのではとないかと、ロッドを振ってみて感じているところです。

 さて、O氏と久しぶりに支流に入渓してみました。渓相は、以前と比べて木が大きくなって鬱蒼と覆い被さり魚が今にも勢い良くフライにアタックしてきそうな雰囲気を醸し出していました。しかし、梅雨前ということもあって、まだ水量が少なく本筋の流れも弱く少し濁りが溜まっていて魚の出が良くありませんでした。魚の活性が上がっていないのかそれとも個体数の激減なのか、かなり深刻な状況に思えました。梅雨の合間にもう一度探ってみる必要があるようです。

渓遊び#3(2013.04)

 今シーズンから、この格好で入渓を試みます。JVCのスポーツCAMというビデオカメラを頭に取り付け、魚がアタックしてくる瞬間映像を撮ろうとの企みからです。

 さて、一発目の映像をご覧に入れます。地元の諫早の渓流の源流域でのFF仲間K西氏との渓遊びの状況です。

今年の溯行は、履き慣れたSIMMS社製の改良版で(2013.03)

同靴の改良版(右側が旧)
同靴の改良版(右側が旧)

 結局、またSIMMS社製のウェーディンシューズを…、昨年同社の同じゴム底のを調達したんですが、紐の弛緩がワンタッチダイヤル式(円状の大きな摘みを回転/下記記事)だったので、従来タイプの紐式にしました。底については、耐久性を考慮してゴム底にしました。ぬめった岩などに対するグリップはフェルトの方が優れているように思います。

 また、今シーズンから爪先甲の樹脂コーティング(縫い付け)付きに改良された点は、合皮の薄利等を抑える効果が期待できるのではと思っています。


必ずしも、新しいものが良いとは限らない (2012.10)

新しいタイプのシューズ
新しいタイプのシューズ

 昨シーズンに買い求めたSIMMSブランドの新しいタイプのウェーディングシューズの使用報告です。

 まず、ラバー底(ビブラムソール)は宣伝文句の通りで、特に悪くは感じませんでした。敢えて言えば、濡れたぬるっとした石の場合はフェルト底の方が安心かもという程度です。しかし、林道などのラフ路を歩くような時は、こちらの方が俄然歩き易くまた摩耗度合いも少ないと思います。それから、靴紐がワイヤーのダイヤル弛緩式ワンタッチ解除(緩め)になっている方式について、これは私としては余りお勧めしたくない結果になりました。その理由として、従来の紐式は、足先、甲、足首など、強く締め付けたい所とそうでない所を、度合いともに自由でしたが、この新式は締め付ける所を選べないという難点があります。むしろ、ダイヤルに最も近いところが最も閉まり、足先にいくにしたがって緩くなりがちです。また、ワンタッチ解除のやり方が、ボタンを上方向に持ち上げるようになっているため、険しい山の中などを歩いていると何かに引っかかるなどして知らない内に解除するということがあります。

 それから、もう一点、ミシンの縫い目の糸が擦れて切れてしまうということです。この点は、他のタイプも共通して言えますが、ミシンの縫い目がなるべく少ないかカバーされているかという点も重要です。岩場の歩き方として、岩と岩の間に靴を落とし込んで安定させることも多く、靴の底ばかりではなく、横や甲などを岩に当てたり挟んだりして溯行します。

 

 やはり、私のようなフィールドの場合は、以前から使っているミシンの縫い目の少ない足首や甲をしっかりと岩の間に固定できるシューズの方が良いようです。山岳渓流のような岩場のない所では便利だと思います。

音楽を通じて巡り合ったアングラー (2012.06)

新しい仲間Kさんと/地元の渓
新しい仲間Kさんと/地元の渓

 長年フライフィッシングを続けていますが、長崎という地には川が少なく海岸線が一番長い県だそうですから、海釣りが一般的な所です。島が多いから、海岸線が長くなるのだそうです。

 さて、今年、やっと親子ほどの歳の差なんですが、Kさんという新しい仲間が増えました。彼はものづくりが好きな器用な男で、自分のロッドをロッドビルディングで造りたいと準備をしています。その内、世界に一本しかない素晴らしいバンブーロッドができるだろうと楽しみです。

虹鱒の静かな終焉、十数年間フライを楽しませてくれて有り難う(2012.05)

今はいない虹鱒
今はいない虹鱒

 諫早市へ引っ越し(H6)をして来て2年目頃、地元のほとんどの川を見て歩いた結果、2〜3本の川では山女の稚魚を放流されていることが分かりましたが、フィールドとして今ひとつ物足りないのとアブラハヤやオイカワが混生していることなどから、実は 自分達で遊び場を作ろうと、近くの川の上流部に3〜5㎝の虹鱒の稚魚600尾ほどを放流しました。

 養殖ものは、もともといろんな環境への適応力に優れ、短期間で成長が早い(太る)よう改良されているようです。翌年には25〜30㎝ほどになりました。そして、その次の年の春(3年目)には産卵して稚魚が元気に孵化しました。その後10年間位は、急激に個体数が減るようなことはなく自然繁殖を繰り返し安定していましたが、3年ほど前から、いる筈のポイントが段々と反応しなくなり、今年はいよいよ全くという状態になり静かな終焉を迎えることになりました。

 思い起こせば、4年ほど前この川の上流に山を削って立派な砂防ダムが設けられました。その工事の際、下流域全体が泥水化し岩の表面や川底全体が泥に覆われ、元のようになるまで3年以上かかりました。多分、その間卵が孵化できなかったのだろうと推測されます。

 虹鱒の産卵時期は、山女の秋と違ってまだ水温の低い春先だと聞きます。卵は、酸素の多い澄み切った瀬の砂利などに産みつけられ3週間ほどで孵化をするようです。この孵化前の卵の表面に泥などが付着して汚れの皮膜ができると卵は呼吸できなくなり新しい命を繋ぐことができなくなります。また、トラウト系の魚の寿命は3〜6年と聞き、山女は約3年、虹鱒は5〜6年と言います。そして、産卵回数は1〜3回程度だとも聞きます。

 今年は、上流のダム工事から5年目の年ではないかと思いますが、なぜかぴったりと合い、一昨年の秋まで出会っていた魚達はその寿命を全うしていた最後の生き残りだったのだろうと。水中で収めた勇姿の写真は、今となっては貴重な感慨深い一枚となりました。

渓流の新緑(2012.04)

地元の渓流にて
地元の渓流にて

 この繊細な優しさと爽やかな色合いには、本当に癒されます。冬の厳しい寒さを凌いだ後の芽吹き、そして新緑と、その健気さゆえ秘められた逞しさに魅了されずにはいられません。

 私たち生き物は、こうした力強い自然の力に守られて生かされていることをついつい忘れてしまいがちですが、併せていろいろな恵みをもたらしてくれている自然に改めて感謝しなくてはと思っています。

 また、水は生命の源とも言われますが、私たちの住んでいる地球と人の身体は、ほぼ’75%が水だと聞いたこともあります。これらの水は、自然と生まれて自然に消滅しているのではなく、地球上で循環しているものだとも聞きます。その循環の一翼を担っているのが、この美しい新緑の空間を見せてくれている山の木々だとも聞きます。


オヤジ譲りのフライマン、ただ今修行中!#1(2012.03)

 渓流釣りは、日本にも昔から“てんから釣り”という毛針を使った釣り方があり、山の中のゴツゴツとした岩場を登りながら釣り昇るというものです。魚のいそうな流れに毛針ふわりと岩陰から落とすやり方は、西洋のフライフィッシングとほとんど同じです。ただ一つだけの違いは、フライフィッシングの方は釣り糸が竿先に固定されておらず糸がスルスルと貫けるガイドになっていて、リールに巻いた糸をポイントまでの距離に合わせて、自由に長さを変えながらキャストできるということです。

 

(参考)

 みなさんは、カーボーイのロープの輪投げやムチをご存知のことと思いますが、フライフィッシングもこれと同じように、フライラインの重さを利用しループを移動させて先端の毛針をポイントに投げるというものです。

 

 さて,私の父は魚釣りが好きで矢部川のすぐ傍に住むほどでした。毎年初夏から秋口までは川へ、春と秋と冬は大川の近くの流れ掘りへ、ハヤやヘラブナ釣りに私を自転車に乗せて出掛けたものでした。竿や仕掛けはすべて手づくり、今思えばいろんな工夫がしてあったように思います。そんな道楽の父を持ったった私は、最近、なんだか重なる一面を感じるとともに、少し父に近づいたような気もしています。

 ところで、その父が夏、川でハヤを釣っていた釣法が「かぶか」というやり方で、本流の膝下位の浅瀬に立ち入って竿丈3倍ほどの毛針(複数本)の付けたラインを、下流からシューッと斜めにキャストするとバシャと食いついてくるハヤに合わせ、タブで受けるという釣りなんです。ラインが長いのでタイミング良く勢いをつけてを引き上げ、左手の受けタブで受けるというテクニックを要するものです。この「かぶか」という釣りは、対象魚の違いとラインの長さ調節はしないものの、フライフィッシングさながらなんです。

 それから類似するところは仕掛けの作り方にもあり、フライフィッシングのフライラインとその先に付ける透明のラインが先端にいくにしたがって段々細くなっているように、「かぶか」の本筋と呼ばれるラインも先にいくにしたがって糸の重さを3段階に軽くしてあるんです。その作り方は、竿先に近い所から、通常使う適当な太さの糸3本の糸をより、次に2本をよった糸を、3段目を1本に、という本筋の先に毛針5本(左右枝状)結んだ細いテグスを繋ぐ、という仕掛けになっているんです。

 

 魚の捕食する時間は、川も同じでだいたい朝と夕方が多く、父はその夕方の2〜3時間を狙ってよく行きました。眩しい金色に輝く瀬に夕陽を背にして立ち、次から次へとキラキラと宙に舞うハヤを受けタブで受ける、その釣り昇る姿を昨日の出来事のように覚えています。この「かぶか」という釣りは、調子の良い時はキャスト毎に数尾いっぺんにフックし、夕まずめだけで100尾以上になることも度々ありました。

 そんな大漁の日は、当然父は機嫌が良く鼻歌を唱いながら自転車を漕いで帰りました。しかし家に着くと、なぜか自慢げな顔はせず、 “ 釣れたよ” と一言だけ言って重い篭を母に渡しました。本当は、父と私は嬉しくて母にもほめてもらいたい筈なのに、と子どもの私はなんだか不思議な感じでした。

 

 その頃の我家の食卓や弁当には、必ずと言っていいほど「ハヤの甘露煮」が添えてあり、子どもの私はその甘辛い味が好きでよくつまみ食いをしたものでした。そんなことができたのも、面倒な、生臭いジゴ(腸)を親指で出して料理するという、母にとって大変な苦労があったからこそのことでした。当時の食生活では、特に故郷の八女は海が遠く、海の魚が食卓に上るという御馳走はめったになく、頭から骨ごと食べるハヤの甘露煮は、我家のいつも欠かさずある定番料理でした。

 親元を離れてからは、大好きだったハヤの甘露煮を食べる機会は殆どなく、父親と過ごした川遊びのことも何時しか忘れてしまっていましたが、偶然にも40際半ばになって始めたフライフィッシングと余りにも似ていることから、父の凄技を懐かしく想い出していろところです。


オヤジ譲りのフライマン、ただ今修行中!#2(2012.03)

 最初にお断りをしておきますけど、私はコレクターではありません。それから、何本も持っていたりすると、“どうしてそんなに無駄な物を”と1本でこと足りてしまうような決めつけの言葉を聞かされてしまうことがありますので、なぜここまでになったのかについてご説明をさせていただきます。

 よく一般的に言われる「大は小を兼ねる」という言葉のように、仮に大きい魚が釣れてもいいように太くて強い竿さえ使ってれば、たいていの魚は切れずに釣り上げられるのではないかと思われるでしょうが、そんなに大まかにはいきません。

 西洋風渓流釣り(フライフィッシング)であっても,日本の渓流においても殆ど当てはまると思いますが、大きく言えば、対象魚の種類や渓魚の大きさ(フィールドの状況でほぼ決まる)と渓流(川)の大きさで、それに加えて季節や天候、竿については長さとロッドアクション(しなり具合)を、ラインについてはそれらの竿とバランスの取れる重さのラインを、組み合わせる必要があります。このバランスがちゃんとしていないと、竿のしなりを利用してフライラインを送り出していく、即ち肝心のフライを渓魚のいるポイントまで飛ばして落とすことができないという結果になります。

 したがって、出掛けた先々の川の渓相によって、例えば、広くて大きな流れの場合は、遠くまでキャストできるよう太めの長い竿と太い(重い)フライラインと長いリーダーを、一方、川幅が狭く木の枝が被っているような場合は、短じかくて細めの竿に細い(軽い)フライラインと短めのリーダーを、ということになります。

 また、渓相とは別に、渓魚の個体の大きさによっても同様に選定が必要で大きな魚の場合、細い竿と細いリーダーではダメだということは分かりやすいのですが、例えば渓魚がそんなに大きくなくても、しなりが強過ぎる竿だったり太すぎるラインでは竿側の力が強過ぎて「合わせ切れ」の原因になりかねません。

 その他、初夏の水量豊富な、渓魚の活性が高い頃は、本流筋の早い強い流れから勢い良く飛び跳ねてフライに食いつき、流れの中を走ったり下ったりしますから、竿とリーダーにかなりの負荷がかかります。こんな時、竿に粘り強いしなりとコシがないと、また竿の方が強過ぎたり引き過ぎたりすると、リーダーが切れたりバラしたりすことになります。要は、渓魚の力(大きさ)に見合った竿にフライラインとリーダーがバランス良くセットされているか否かということが重要なんです。

 

 さらに、魚を騙さなければならない、虫を模した毛針(疑似針)がその季節に合っているかどうかが最も大事なこととなります。


AWAY/9月連休恒例の宮崎熊本遠征(2011.09)

熊本と宮崎の県境の源流域渓
熊本と宮崎の県境の源流域渓

 恒例の9月の3連休、今回もいつもの釣り仲間のO氏(写真左)とともに宮崎と熊本の県境辺りの山の中で2泊3日の釣りを楽しんだ。

 台風一過の渓は、白泡の舞う増水と少し濁りの残る流れとなっており、水量が落ち着くまで後2〜3日という渓相であった。で、フライを落とすポイントが少なく、流れも速く、ラインにドラッグがかかりフライが流れに飲み込まれてしまう状況での遡行となった。

 ところで、今回の遠征では、実は新たに調達したビブラムソールというこれまでのフェルト底と異なるラバーソールのウェーディングシューズを試す機会でもあった。そして、その結果は安定していて大変良好、渓流や獣道など山の中を長時間歩くのにぴったりの好印象で、フェルト底のような摩耗しやすいという弱点もなさそう。後は耐久性に期待したいところである。

 さて、肝心の釣果については、結論から言うとこれまでにない良い結果となり、山岳渓流に棲む天然ものとして20㎝以上が6尾(二人で)とほか数十尾フックしたのは我々にとって大変稀な出来であった。

 それから、今回の渓の状況下で初めての体験したことに、落ち込みの白泡だったポイントの中に目立つフライを落とし込み、その自然なドラッグに任せてのシンキング状態になった後、フライをピックアップすると魚の当たりを感じ釣り上げることができたということがある。しかも、形の良いのは殆どこのやり方でフックしたのだ。ドライフライがドラッグがかかって沈んでしまうという、どちらかというと不本意なやり方によるものだった。だが、今回のやり方については、今後も多いに試してみる価値があると思っている。

物置に眠っていたウェーディングシューズ(2011.06)

ネオプレーン製フェルト底
ネオプレーン製フェルト底

 どんな遊びでも共通していることではないかと思いますが、遊びはだいたい身体を使うものが多く手足などは特に顕著だと思います。渓流釣りのフライフィッシングにおいても、身体を使うというか、源流域をフィールドとする小生などはほぼ沢登りと同じようなものです。岩場や山の斜面を四つん這いで登ったり、次のポイントへひたすら移動しながら釣り昇ります。ですから、足腰を使う足場の悪い高低差のある移動の連続ということになります。そこで、重要となるのが靴の選択です。フライ用だからといってもどれでも良いわけがなく、自分のフィールドにはどんな造りが合うのかよく吟味しなくてはなりません。

 フライを始めた頃は、足場がどんなに不安定でも滑りにくい底と足首が自由になれば山岳渓流でも歩き易いだろうと勝手に思いました。ところが、逆に石のぐらつきや予期せぬ角度の岩に足を取られて捻挫しそうになったり転んだりしました。また、シューズの前部分や甲の部分に縫い目のある物は、岩場では石や岩の間に靴を挟んで足元を安定させながら歩くことが多く、その縫い目の糸が擦れてすぐ切れるという問題を抱えました。接着剤で縫い目を補修しながらシーズンを乗り切ろうとしましたが、結局何足も履き替えるはめになりました。

 現在は、そんなことから足首のしっかりとした縫い目の少ない靴に行き着いています。このタイプだと今までとちがって遡行がかなり楽になり、転ぶことも少なくなりました。考えてみると、山岳渓流のフライは釣りと言うより沢登りのようなもので、歩いている時間の方が圧倒的に長いんですよね。最近ラバー底の新しいシューズが発売されていますので、今シーズンは試してみようかと思っているところです。