イラストレーション挑戦の準備

 社会人を目指し就職を考えていた大学生時代に描いた数枚のクラシックカーのイラスト、未だ大事に私の手元にあります。或る自動車メーカーの入社試験を受けたいと思いイメージスケッチの練習で描いたものです。

 それから約40年後の定年間際の頃、リタイアーしたら自分の好きなことをしてのんびり過ごそうと思っていました。その好きなことの一つに古い車などのイラストレーションがあり、丁度その頃仕事でお世話になっていた方が大変希少な羽ベンツに乗っておられました。そこで、その優雅な風格ある姿を描いてみたいと思い、私からその旨を一度相談したことがありました。その後、そのことがきっかけでこのコロナ禍のステイホーム中久し振りに連絡をいただき、展覧会に出品してみませんかとお誘いを受けました。

 私は現在74歳という高齢の身ですが、幸にしていくつかの趣味を持ち続けて来ました。しかし、このイラストレーションだけはやりたいと思いながらもなかなか着手のチャンスに恵まれず、結局10年以上今回の機会まで先延ばしになっていました。

 その連絡いただいた内容というのが、諫早市展が60周年(2021,11月開催)を迎えるということで、この「市展」に出品しませんかというものでした。私はこれまで一度もこのような展覧会に出品した経験がなく少々緊張気味ですが、本当に良い機会を与えていただいたと大変感謝をしています。早速、学生の頃愛用していた画材道具を引っ張り出し、足りないものを百均やネットで調達したり、久しぶりのイラストレーションに向け準備に高揚しています。 

 数日後、今度はこちらからK下先生に連絡して応募要件(作品の大きさ等の要件など)などを教えてもらい、併せて先生の愛車をモチーフにしたい旨を相談したらすぐ快諾をいただきました。そして、さっそく愛車の写真撮りのご都合を尋ねていたら予定外の長雨が続き、しばらくお預けを食う事になりました。2週間ほど待った梅雨入り間際の晴れの日、“今日はいかがでしょう?今エンジンを掛けてみているところです。かかったらまた連絡入れます”との待ちに待った連絡、雨の日はなかなか一発ではかかり難いとのお話でした。私は、シェルモーターを回し過ぎてバッテリーが上がってしまったら大変と心配になり “私の車を繋いでやりましょう” とすぐ駆けつけました。着いたらやはりまだ掛かっておらずシェルは回るがなかなか点火できない状態でした。私は早速ケーブを繋ぎ私の車のエンジンを蒸しながら先生にエンジンを掛けてもらいました。幸にバッテリー上がりは免れ無事エンジンがかかりましたが、プラグが少し被ってしまったらしくノックしながらアイドリング状態になりました。古い手動のチョークボタンを調整しながらノックが収まるまでしばらくアイドリングを続けました。

 やがて、エンジン音が落ち着き私は憧れの助手席に乗せてもらい、シート越しにお尻に伝ってくるエンジンの振動を心地良く感じながら諫早干拓地の広い草原へ向かいました。