釣査マンの心得

 当地に移り住み第二の故郷となった諫早、この地には諫早干拓により淡水化した大きな湖「諫早干拓調整池」があり、この新たに創生された内水面には真新しい広大な自然環境と生態系が生まれ、いろいろな生き物たちの住処となっています。私は、幸いにして、この広大な自然をまるで独り占めしたかのように、淡水魚釣りを楽しませてもらっていますが、その淡水魚釣りの中の対象魚モンスター「カムルチー」にあっては、全国的にも屈指のフィールドとして県内外から遠征アングラーが訪れるほどの場所が地元であるということです。しかも、ポイントまで自宅からたったの12〜15分という恵まれた環境にいるということです。

 そのようなことから、連休や休日などはモンスターを狙うアングラーが遠くから訪れ、釣り師同志として意気投合してしまうこと度々です。

 その中のお一人、昨年秋、シーズン終盤の頃、ポイントの近くに駐めて年季の入った赤いランドクルーザーのヘッドライト辺りの部品をバラして何やらトラブった様子の二人組に遭遇、私はこんな所で故障?と思って声をかけました。”どうかしました?故障ですか?” と、この時が始まりで、その後いろいろご教示いただく楽しいお仲間としてお付き合いさせていただくようになりました。

 さて、そのH氏は、博多の中心部で花屋さんを営まれているとのことでしたが、今季の始まる直前の4月にお久し振りに電話をいただき、五月の連休前半に香川まで遠征に一緒に行きませんかというお誘いを受けたのですが、残念ながら私の身体的なことで遠征には自信が持てず、香川行きは見送らせてもらい連休後半に諫早へ遠征に来られる時に再開しようということになりました。

 5月5日、昨年お会いした所と同じ水門前近くで赤いランクルを見つけ、久しぶりに昨シーズンの時と同じ親子二人でご来諫でした。久しぶりの再開の喜びもそこそこにH氏は、真っ先に自分の車から綺麗なインテリアフラワーを取り出し、”これを、忘れない内に、奥様にどうぞ…”と言って、私の車のシートの上に置かれ、その後から互いに挨拶と情報交換を、という男同志としては少々照れるような再開となりました。

 H氏によると、花は私にではなく、家内へということでした。花屋さんという職業がらからというのも、もちろんあると思われますが、とかく釣り師は奥方に我がままをさせてもらい迷惑をかけているのが常、ということから、これから釣り師同志として家内に理解を仰ごうという紳士的な計らいでした。私にはそのことがすぐ理解できず、H氏の話を聞いて、”さすが!本物の釣り師というのは、このようなことがちゃんと出来るのか!”と、うなづきました。

 いつも、私は我が家のリビングで、この優雅な花とマンションの窓から望む私のフィールドと空模様を眺めながら釣りの奥深さを感じています。